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コンビニ監督



 ウチの近くのコンビニがさ、凄いんだよ。

店員の教育が完璧に行き届いてて。
深夜の従業員も眠いだろうけどさ、ちゃーんとしてるんだよね。

いや、ゆってもさ、本社から派遣されて来ました的な嫌みったらしい丁寧さじゃないんだよ。
元の人間性が好感持てるんだろうね。多分。そういう意味じゃ教育が行き届いてるって言うよりは“オーナーが目利き”なんだろうね。

お気に入りだなぁ、あの店。

全国コンビニ店員選手権とかあったらヤバいよ。全国ベスト16は間違いないね。
今は来店する度にそのコンビニのスターティングメンバーを真剣に選ぶのが俺の日課だね。

今んところ、いつでもフィールドに出せるエースが3人。
彼らはかなりのポイントゲッターだね。
何がいいって、ちゃんと客の顔を見て言葉しゃべるし、変な笑顔とか作らないし、俺がいっつも領収書下さいって言うの解ってるからハンコ用意して待ってくれる様になってきたしね。
スッゴく仕事が速いわけでもないし、ずば抜けて気が利くって訳じゃないけどさ、人とコミュニケーション取る仕事って事をちゃんと解ってるんだよ、うちのエースは。

あいつらに海外チームから引き抜きが来たら俺は監督としてオーナーに年俸アップを直談判するね。チームに必要なスター選手だしさ、何よりあいつらはスタジアムに客を呼べるからな。

もしオーナーが断るなら俺も監督やめるね。



 んでねー、逆に仕事が超速いけどいつもちょっとダルそうな顔してる選手が3人いるんだよ。
惜しいんだよなぁ、あいつら。

いや、この世界は確かに厳しいさ。選手の入れ替わりも早いし、誰でもプレイに見合った年俸が貰えるとは限らないし、何より試合がハードだからな。
時には強面の方に脅されたりもするだろうしな。
ダルそうな顔もしたくなるだろうよ。

ゆっても奴らはプレイヤーとしては勿論世界に通用するよ?でもさ、俺達の試合は只のスポーツじゃないワケよ。
スタジアムに足を運んでくれるファンがいるからこそプロとしてやってけるワケじゃんか。

しかも俺はいつも言ってんだよ、あいつらに。
「どれだけ客が並んだって構わん。良いチームってのは列が出来てしまうものなんだ。むしろ完璧は有り得ない事を前提に、並んでまでお前達のプレイを見に来てくれるファンのみんなに、心の感謝を忘れちゃだめだ!その心は必ずファンに伝わるぞ!それがお前のプレイを輝かせるんだ!」ってな、心の中でな、言ってんだよ。

そしたらさ、それが伝わった1人がさ、最近プレイスタイル変わってきてさ‥‥‥嬉しかったね、あいつがちゃんと俺の目を見て「(監督!)ありがとう御座いました(ー!!)。」って言ってくれた時はさ‥‥俺もこのチームの監督になってまだ2年だけどさ‥‥‥このチームで世界目指そう、こいつらを世界に連れてってやろう!ってさ。
その時決めたんだよなぁ‥‥‥。



 いやぁ、でも辛い事もあったんだぜ?

手塩にかけて俺が育てた若干二十歳のホープがいてさ。
あいつはギャル夫だったんだけどさ、外見に似合わずプレイスタイルもポテンシャルも抜群でさ。
表情だけは硬かったけどさ、少しずつ俺のチーム作りに慣れてくれてさ、最後は良い笑顔でフィールド立ってたなぁ‥‥

でもさ‥‥‥いなくなっちまったんだよ、ある日突然。
オーナーとの間に何があったのか‥‥その時の俺は契約に口が出せるほどこのチームに貢献してなかったからなぁ‥‥。

あいつが今もこのチームにいてくれてたら‥‥‥ワールドカップ決勝も夢じゃ‥‥‥いや、そんな事言っちゃいけねぇな。

次の世代に希望を託し、今日も俺は奴らを鍛え続けるだけさ‥‥‥。





 バカだなぁ、俺。
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by fozztone | 2009-04-25 23:45 | グダグダ
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